過保護坊ちゃま

家の者が言葉を教えている日本人の男性がいるのだが、相当変わった人らしい。年は20代前半のようだがとにかくその人のお母さんが出てくるのだ。例えて言うなら授業参観でその人を指したらお母さんが代わりに答えるくらいの過保護っぷりらしい。以前週末の朝8時くらいに家に電話がかかってきて私が取ったことがあったのだが、本人は最初に
「ハロー?」
と言ったきり無言でお母さんに代わり、後はお母さんがひたすら
「あらまだ朝早いかしらすみませんねまあほんとによろしくお願いしますうちの子はあまり積極的ではないですけれどもひとつそこをどうかよろしくお願いいたしますところで奥さんはお仕事してらっしゃるのあらそうなんですかうちはまだ大学出たばっかりですからまだなにもわからなくてほんとよろしくお願いしますね日本人の奥さんがいる方なら安心だわほんとよろしくおねがいしますところでご実家はどちらのほうであらそうなんですかうちはXXのほうなんですけれどそれなら(以下携帯のバッテリーが切れる寸前までエンドレス)」
という様子なので、きっとお母さんが何でもやってあげているうちに何も出来なくなってしまったのだろうな、と容易に知れた。家の者が教えている時も「ペン持って」「ノート開いて」「この単語メモして」とかいちいち全部言わないと何も書いたりしないらしい。本人がこれまで歩んできた人生を想像するに気の毒な気もするが、もしかして両親が匙投げてここに置いてった? とか色々考えてしまった。 二十歳超えたら性格を変えるのも難しそうだが、新興宗教に入るとか、昔ヤンキーだった短気な板前に弟子入りするとか、そういうトレーニングをするといいんじゃないかと思う。