学生さん

買い物しようと外に出たら、ドアのところで見たことのある顔の日本人男性がぼーっと立っていた。家の者が昔ドイツ語を教えていた学生さんだ。20分前くらいにベルが鳴ったのをシカトしたのだが、ベル鳴らしてからずっと待ってたのか。悪いことをした。
学生さんに用件を尋ねると「色々聞きたいことがあるんで、時間かかっちゃうと思うんですけど…」と言ったきり黙っている。
もうめんどくさいのでこちらから矢継ぎ早に色々聞くと、
「航空券を安く買える所を教えてくれ」
「何か困ったことが連絡させて欲しい」
ということのようだった。なんなんだ、旅行代理店に聞いてよ…。私はとりあえず航空券について知っていることを答え、「これからちょっとスーパーに買い物に行かなくてはならないので」と切り上げようとしたのだが、「一緒についていっていいですか」とスーパーについてきた。うーん、この人私たち以外の知り合いいないのかな…。
ずっと黙っているわけにもいかないので、これからウィーンにはどれくらい住む予定なのか聞いてみたら、「まだあと3年くらいはいるつもりです」と言っていた。親の金で語学学校だけ4年も通う30代の男ってどうなんだ。やっぱり親が面倒見切れなくなってウィーンに捨てられちゃったんじゃないだろうか。
結局学生さんには「家の者が帰ってきたら電話させるので」と言って帰ってもらった。言わなかったら「待たせてもらっていいですか」って2時間くらい平気で待っていそうだ。で、学生さんは電話番号だけでいいというのに住所・家の電話・携帯電話・メールアドレス2個をすべてメモに残して帰っていった。面白いけど、大変そうな人だ、と思った。